玉掛け学科試験の合格基準と攻略法|4科目の頻出ポイントと引っかけ対策
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玉掛け技能講習(つり上げ荷重1トン以上のクレーン等の玉掛け業務)では、学科講習(合計12時間。規程第3条で力学が免除される人は9時間、第4条の特例の人は11時間)の最後に修了試験(学科試験)が行われます。
この記事では、玉掛け技能講習規程とクレーン等安全規則に基づき、4科目の内容、合格基準の決まり方、試験にそのまま出る重要数字、よくある引っかけ選択肢のパターンをまとめました。
学科試験の4科目と配点・合格基準
玉掛け技能講習の学科科目と講習時間です。
| 科目名 | 講習時間(19hコース) | 主な出題テーマ |
|---|---|---|
| ① クレーン等の知識 | 1時間 | 天井クレーン・移動式クレーン等の種類、巻過ぎ防止装置、定格荷重と作業半径 |
| ② クレーン等の玉掛けに必要な力学 | 3時間 | 力の合成・分解(つり角度と張力)、重心と安定、体積×比重の質量計算、摩擦・モーメント |
| ③ クレーン等の玉掛けの方法 | 7時間 | ワイヤロープ・ベルトスリング・シャックルの選定、あだ巻き・目通し吊り、合図、地切りと退避 |
| ④ 関係法令 | 1時間 | 安衛法・クレーン則(1t以上の資格区分、安全係数6、ワイヤ廃棄基準、立入禁止など) |
| 合計 | 12時間 | 講習規程第5条では筆記試験か口述試験。形式は講習所ごとに異なる |
国の告示には、何点で合格という数字も、科目ごとの配点も書かれていません。配点、問題数、試験時間、合格基準は、講習所ごとに労働局へ届け出る業務規程で決まります。
講習所が公表している例として、岡山トレーニングセンターは、学科は各科目40%以上かつ合計60%以上、実技は70%以上と案内しています(2026年10月確認)。この例のような基準だと、合計点が足りていても1科目が低いと落ちることがあります。受ける講習所の案内で確かめてください。くわしくは玉掛け技能講習の試験と計算問題にまとめています。
試験前に絶対暗記!玉掛け学科の重要数字一覧
学科試験の4択でそのまま問われる最重要の数字です。
| 数字 | 内容・決まり | 法令・テキスト根拠 |
|---|---|---|
| 1トン以上 | つり上げ荷重1トン以上のクレーン等の玉掛け業務は玉掛け技能講習が必要(1トン未満は特別教育) | 安衛法施行令第20条第16号 |
| 90度以内 | つり角度は原則90度以内にする(2本4点の半掛けつりやクランプなど、個別の作業では60度以内)。60度の張力係数は計算値で約1.155、教材の表で1.16なので、2本つりの1本あたりの張力は荷の重さの約0.58倍 | 玉掛け作業の安全に係るガイドライン |
| 6以上 | 玉掛け用ワイヤロープの安全係数は6以上(切断荷重÷かかる最大の静荷重≧6) | クレーン則第213条 |
| 5以上 | 玉掛け用つりチェーンの安全係数は5以上(一定の要件を満たすものは4以上) | クレーン則第213条の2 |
| 5以上 | フック・シャックルの安全係数は5以上 | クレーン則第214条 |
| 6以上 | ベルトスリングの安全係数は法令に定めがなく、日本クレーン協会規格で6以上 | 厚生労働省の技能講習補助教材 |
| 10%以上 | ワイヤロープの1よりの間において素線(フィラ線を除く)の数の10%以上が切断したものは使用禁止 | クレーン則第215条第1号 |
| 7%超 | ワイヤロープの直径の減少が公称径の7%を超える摩耗があるものは使用禁止 | クレーン則第215条第2号 |
| 5%超・10%超 | つりチェーンの伸びが製造されたときの長さの5%を超えるもの、またはリンク断面の直径の減少が10%を超えるものは使用禁止 | クレーン則第216条 |
| 7.8 / 2.7 / 2.3 | 1m³あたりの質量(比重):鋼(鉄)7.8t、アルミニウム2.7t、コンクリート2.3t、水1.0t、木材0.3〜0.9t(きり0.3、すぎ・ひのき0.4、かし0.9) | 厚生労働省の技能講習補助教材 表2-1 |
ワイヤロープの安全係数や廃棄基準の詳しい図解は玉掛けワイヤロープの選定・安全係数6・廃棄基準、計算問題の詳しい解き方は玉掛けの学科・実技試験と計算問題にまとめています。
よく出る「ひっかけ問題」10選(試験直前チェック)
4択問題で迷ったときにすぐ見抜ける、定番の誤り(×)選択肢パターンです。
- ×「つり上げ荷重0.5トンのクレーンであっても、1トンの荷を吊らなければ無資格で玉掛けしてよい」 → 誤り。1トン未満でも玉掛け特別教育が必要です。また、資格区分は「実際に吊る荷の重さ」ではなく「クレーン等のつり上げ荷重(能力)が1トン以上か未満か」で決まります(つり上げ荷重2トンのクレーンで100kgの荷を玉掛けする場合も「玉掛け技能講習」が必須です!)。
- ×「玉掛け技能講習を修了すれば、つり上げ荷重5トン未満のクレーンの運転もできる」 → 誤り。玉掛けは「フックに用具や荷を掛け外しする資格」であり、クレーン本体の運転には別途クレーンの資格が必要です。
- ×「2本吊りでつり角度を大きくする(90度→120度にする)ほど、1本のワイヤロープにかかる張力は小さくなる」 → 誤り。つり角度が大きくなるほど張力は急激に大きくなります。つり角度120度になると、1本あたりの張力は荷の重さと等しくなり(0度のときの2倍)、非常に危険です。
- ×「荷の重心の真上ではなく、少しずれた位置にクレーンのフックを誘導して巻き上げる」 → 誤り。フックは必ず荷の重心の真上(鉛直線上)に誘導します。ずれていると地切りした瞬間に荷が大きく振れて衝突・落下事故になります。
- ×「ワイヤロープの安全係数は、切断荷重に6を掛けた値である」
→ 誤り。
使用荷重(安全に吊れる上限) = 切断荷重 ÷ 安全係数(6)です(割り算と掛け算のひっかけ)。 - ×「キンク(ねじれによる折れ曲がり)したワイヤロープは、ハンマーで叩いて真っ直ぐに直せば再び使用できる」 → 誤り。一度キンクしたワイヤロープは内部の素線が損傷して強度が著しく低下しているため、直しても即廃棄(使用禁止)です(クレーン則第215条)。
- ×「シャックルに複数のワイヤロープを掛けるときは、ボルト(ピン)のほうにアイ(輪)を集めて掛ける」 → 誤り。ワイヤロープが動いたときにピンが回って緩むのを防ぐため、原則として本体(クラウン・湾曲部)側にワイヤを掛け、フック側(上側)にピンがくるように使います。
- ×「角張った鋼材を吊るとき、ワイヤロープが滑らないように当て物(パッキン)をせず直接角に当てて強く締める」 → 誤り。荷の角(エッジ)でワイヤロープやベルトスリングが鋭く折れ曲がると、素線切れや切断の原因になるため、必ず当て物(コーナーパッド等)を使います。
- ×「荷がつり上がって移動し始めたら、荷が揺れないように手で直接荷を押さえながらクレーンの下を一緒に歩く」 → 誤り。つり荷の下には絶対に立ち入らず、荷を押して歩かないのが鉄則です。向きを制御するときは介錯ロープ(誘導ロープ)を使います。
- ×「合図は誰が出してもよいので、気づいた作業者がそれぞれクレーン運転者に巻上げや移動の合図を出す」 → 誤り。運転者への合図は指名された合図者1人が行います。危険を感じたときに運転者へ作業の中断をどう伝えるかは、作業前の打合せで決めておきます(玉掛け作業の安全に係るガイドライン)。
その場で解ける!玉掛け学科4択ミニクイズ
本番と同じ4択形式で2問チェックしてみましょう!
法令・告示や厚生労働省の資料などをもとに作った練習問題は、学科試験の練習問題(30問)にまとめています。選択肢を押すと、その場で答えと解説が見られます。
まとめ
- 玉掛け学科試験は4科目(クレーン知識・力学・玉掛け方法・法令)の4択マークシートで、合格の基準は講習所の業務規程で決まる(例:各科目40%以上かつ合計60%以上)
- 公表された合格率の統計はなく、講習所のコラムに「90%以上」とある例が目安。講習中に講師が強調した箇所と重要数字を復習しておく
- 最重要数字は「つり上げ荷重1トン以上」「安全係数6以上(ワイヤ)」「素線切れ10%以上・摩耗7%超・キンクは廃棄」「つり角度は原則90度以内(半掛けなどは60度以内)」「地切りわずか」
- さらに本番形式で練習したい人は、玉掛け学科試験の無料練習問題30問と下記の200問問題集をご活用ください
実技試験の質量目測や合図の手順は、玉掛け実技試験の手順と質量目測と玉掛けの合図一覧で詳しく解説しています。
よくある質問
- 玉掛け技能講習の学科試験の合格基準(合格点)は何点ですか?
- 国の告示には点数の基準は書かれていません。合格の基準は、講習所ごとに労働局へ届け出る業務規程で決まります。たとえば岡山トレーニングセンターは、学科は各科目40%以上かつ合計60%以上と案内しています(2026年10月確認)。この例のような基準だと、合計点が足りていても1科目が低いと不合格になるので、受ける講習所の案内で確かめてください。
- 玉掛け学科試験の合格率はどのくらいですか?
- 国や労働局が公表した合格率の統計は見つかりませんでした。講習所のコラムには「90%以上」と書かれている例がありますが、集計の方法は示されていません。講習中に講師が強調した箇所や、ワイヤロープの安全係数・廃棄基準・つり角度の数字を復習しておくと安心です。
- 学科試験ではどのような計算問題が出ますか?
- ①荷の体積×比重(1m³あたりの質量)から質量を求める計算、②つり角度や張力係数から1本あたりのワイヤロープにかかる張力を求める計算、③安全係数(6以上)から必要な切断荷重または使用荷重を求める計算の3パターンが中心です。
- もし玉掛けの学科試験に落ちたらどうなりますか?
- 多くの教習所では、当日または別日に補講・再試験(1回無料〜数千円程度)を受けることができます。ただし再試験でも不合格になると学科講習の受け直しになる場合があるため、1発合格を目指しましょう。