玉掛けの掛け方の種類(目通し吊り・あだ巻き吊り・半掛け吊り)|長所・短所と試験対策
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玉掛け作業では、吊り上げる荷の形(箱物、鉄骨やパイプなどの長尺物、束ねた資材、吊り金具付きの機械など)に応じて、ワイヤロープやベルトスリングの掛け方を正しく選ぶ必要があります(玉掛け作業の安全に係るガイドライン)。
この記事では、4つの基本の掛け方の仕組み・メリット・デメリットと、学科・実技試験で狙われる重要ポイントをわかりやすく解説します。
玉掛けの4大掛け方 比較表(長所・短所・向いている荷)
まずは学科試験で最もよく比較される4種類の掛け方の一覧です。
| 掛け方の名称 | 通し方・仕組み | 荷の滑りにくさ(把持力) | ロープの強度・傷み | 向いている荷・使えない荷 |
|---|---|---|---|---|
| ① アイ掛け吊り (直接掛け) |
荷に付いている吊り耳(アイボルト・吊りピース)にシャックルやフックを直接掛け、上端アイをクレーンフックに掛ける | ◎ 最も確実 (外れない) |
◎ 低下なし (ロープが折れ曲がらない) |
【向く】 吊り金具付きの機械・金型・鉄骨・コンクリート二次製品 |
| ② 半掛け吊り (バスケット吊り・U字吊り) |
荷の下へワイヤをU字形に通し、両端のアイをクレーンフックに掛ける(巻かない) | △ 滑りやすい (荷が傾くと抜ける) |
○ 傷みにくい (緩やかな曲がりのみ) |
【向く】 重心の低い安定した箱物(2本4点。つり角度は原則60度以内で、当て物でずれを防ぐ) 【NG】 束ねた丸棒・パイプ(バラけて抜ける) |
| ③ あだ巻き吊り | 荷の周りにワイヤをぐるっと1周(360度)巻きつけてから、両端のアイをクレーンフックに掛ける | ◎ 非常に滑りにくい (荷の重みで締まる) |
○ 比較的良好 (目通しより折れ曲がりが緩やか) |
【向く】 長尺の形鋼・丸太・単管パイプの2本吊り(実技試験の定番!) |
| ④ 目通し吊り (チョーク吊り・くくり吊り) |
荷の下を通したワイヤの片方のアイの中に、もう片方のアイを通して絞り上げ、1つのアイをフックに掛ける | ◎ 強く締まる (くくり付ける力大) |
△ あだ巻き目通しで深く絞ると張力が2〜3倍 (アイを通す部分で鋭く屈曲し傷みやすい) |
【向く】 丸棒の束、長尺材(必ず2本以上で吊る) 【NG】 1本での目通し吊り(回転・抜け落ち危険) |
それぞれの掛け方の詳しい特徴と試験の注意点
1. 半掛け吊り(バスケット吊り)の注意点
半掛け吊りは、荷の下にワイヤロープやベルトスリングをくぐらせて両端のアイをフックに掛ける最もシンプルな方法です。
- メリット:1本のワイヤロープをU字に折り返して2本分の立ち上がりで支えるため、ロープが鋭く折れ曲がらず傷みにくいのが長所です。
- 最大の欠点(試験頻出):荷を締め付ける(絞る)力が働かないため、少しでも荷が傾くとワイヤロープが滑って荷が抜け落ちる危険があります。国のガイドラインも2本4点の半掛けは安定が悪いとして、つり角度を原則60度以内にし、当て物などでずれないようにすることを求めています。特に「丸棒の束(バラ物)」を半掛け吊りすることは、隙間から中身が抜け落ちるため厳禁です。
2. あだ巻き吊り(実技試験でも使う王道の掛け方)
あだ巻き吊りは、半掛け吊りの状態からさらに荷の周りにワイヤロープを1回ぐるっと巻きつけて(360度回して)、両端のアイをフックに掛ける方法です。
- メリット:荷をつり上げると、荷自身の重さでワイヤロープがギュッと荷に巻きついて締め付けるため、摩擦力が非常に大きく、長尺物や丸太でも滑りにくいのが最大の特徴です。
- 巻く向きのコツ:2本のワイヤロープで長尺物を左右対称に「あだ巻き吊り」するときは、荷が回転しないように左右の巻き方を揃え、ワイヤが重ならない(クロスしない)ように整えます。
3. 目通し吊り(チョーク吊り・くくり吊り)の4大ルール
目通し吊りは、片方のアイ(輪)の中にもう片方のアイをくぐらせて、首輪のように荷をくくり上げて吊る方法です。学科試験では次の4点が繰り返し問われます。
- 1本での目通し吊りは避ける(2本以上で吊る):1本だけで目通し吊りすると、つり上げた瞬間に荷がクルクル回転してワイヤが緩んだり、傾いてすっぽ抜けたりするため大変危険です。
- あだ巻き目通しつりで深く絞るときは張力が2〜3倍になる:絞り部分でワイヤロープが大きく屈曲します。国のガイドラインは、2本2点あだ巻き目通しつりで目通し部を深く絞る場合は通常の2〜3倍の張力がかかるものとして用具を選ぶよう求めています。
- アイの圧縮止め金具に偏荷重をかけない:国のガイドラインは、2本2点の目通しつりは圧縮止め金具に偏荷重が作用しない荷に使うよう求めています。
- アイの根元(ロック加工部・編込み部)が荷の角に当たらないようにする:加工部分が角(エッジ)で曲がるとアルミ管の割れや素線抜けの原因になります。
フックへのアイ(輪)の掛け方と「角当て(パッキン)」の鉄則
掛け方とあわせて、学科・実技の両方でチェックされる基本ルールが3つあります。
1. フックにはアイを重ねず、向きに合った順番で掛ける
2本のワイヤロープ(合計4つのアイ、または目通しの2つのアイ)をクレーンのフックに掛けるときは、フックの中でワイヤ同士が交差して重ならないように掛けます。
- 掛ける順番:国のガイドラインは「フックの部分でアイを重ねない」「フックの方向に合った掛け順にする」としています。フックの向きで順番は変わるので、講習の指示に従ってください。
- フックの中心(底)に掛ける:アイがフックの先端にかかった状態(先掛け)や、外れ止め金具の上に乗り上げた状態は、フックの変形や脱落につながるため厳禁です。
2. 荷の角(エッジ)には必ず「当て物(パッキン・コーナーパッド)」を入れる
H形鋼、鉄板、工作機械、コンクリート製品などの角張った荷(エッジがある荷)を直接ワイヤロープやベルトスリングで吊ると、角の部分で素線が切れたりベルトがスパッと破断したりします。
また、当て物をしないと荷の角が潰れて製品に傷がつくため、必ずゴム・ウレタン・木材・麻袋・専用コーナーパッドなどの「当て物」を角とロープの間に挟みます。
3. つり角度は「60度以内」を目安に・フックは「重心の真上」
2本吊り以上のつり角度は60度以内を目安にします(国のガイドラインは共通事項が原則90度以内、半掛けが原則60度以内)。そのうえで、クレーンのフックは必ず荷の重心の真上(鉛直線上)に誘導してから巻き上げます。
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まとめ
- アイ掛け吊り:荷の吊り耳にシャックル等で直接掛ける。最も確実で強度低下なし
- 半掛け吊り(U字吊り):下から通すだけなのでロープは傷みにくいが、滑りやすいため束ねた丸棒(バラ物)には使えない
- あだ巻き吊り:荷に1周(360度)巻きつけるため摩擦力が強く滑りにくい。実技試験の長尺物2本吊りの定番
- 目通し吊り(チョーク吊り):片方のアイに通して絞るため強く締まるが、あだ巻き目通しつりで深く絞ると張力が2〜3倍になる(2本以上で吊る)
- 角がある荷には必ず当て物(パッキン)を挟み、つり角度は原則90度以内、半掛けは60度以内にする
学科試験全体の配点や引っかけ対策は玉掛け学科試験の合格率・配点と攻略法、実技試験の質量目測は玉掛け実技試験の手順と質量目測で詳しく確認できます。
よくある質問
- 「半掛け吊り」「あだ巻き吊り」「目通し吊り」の中で、一番荷物が滑りにくいのはどれですか?
- 「目通し吊り(チョーク吊り)」または「あだ巻き吊り」です。単なる「半掛け吊り(下からU字に通すだけ)」はワイヤロープと荷の接触面積が小さく締め付け力がないため、長尺物や丸棒が傾いたときに最も滑り落ちやすい掛け方です。
- 「目通し吊り(チョーク吊り)」の欠点(注意点)は何ですか?
- 片方のアイ(輪)にもう片方のロープを通して絞るため、アイの根元でワイヤロープが急角度に折れ曲がり、ロープに大きな力がかかる点です。国のガイドラインは、2本2点あだ巻き目通しつりなどで目通し部を深く絞る場合は、通常の2〜3倍の張力がかかるものとして玉掛用具を選ぶよう求めています。また、1本での目通し吊りは荷が回転しやすいため、原則として2本以上で吊ります。
- 玉掛けの実技試験ではどの掛け方を使いますか?
- 多くの登録教習機関の実技試験(形鋼や丸太・パイプ等の長尺荷)では、荷の下を通したワイヤロープを上から1回巻いて締め付ける「あだ巻き吊り(2本あだ巻き吊り)」または「目通し吊り」が課題として指定されます。
- フックに2本のワイヤロープのアイ(輪)を掛けるときの順番はありますか?
- はい。国のガイドラインは、フックの部分でアイを重ねず、フックの向きに合った順番で掛けるよう求めています。アイ同士が交差して重なると、外れ止めが壊れたりロープが傷んだりします。具体的な順番はフックの向きによるので、講習の指示に従ってください。