玉掛け実技試験の手順・質量目測(比重一覧)と減点されないコツ
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玉掛け技能講習の最終日に行われる実技試験では、実際の荷を見て重さを見積もる「質量の目測」と、クレーン運転士に合図を送りながら荷を吊り上げて移動させる「基本作業・合図」が採点されます。
また、学科試験の「玉掛けに必要な力学」でも、比重(単位体積質量)を使った質量計算問題が毎回出題されます。この記事では、試験前に暗記すべき比重一覧表、質量目測の計算手順、実技試験の7ステップと減点されないポイントをまとめました。
1. 質量の目測で使う「比重(1m³あたりの質量)」一覧表
玉掛け作業では、吊り上げる荷の質量(トン数)が分からなければ、クレーンの定格荷重を超える過負荷になったり、ワイヤロープの太さ(使用荷重)を誤ったりして大事故につながります。
そのため試験では、「1立方メートル(1m × 1m × 1m)あたりの質量(t/m³)」を使って荷の質量を計算します。
| 材質 | 1m³あたりの質量(t/m³) | 1リットル(10cm角)あたり | 覚え方・試験での出題ポイント |
|---|---|---|---|
| 鋼(鉄・H形鋼・鋼板) | 7.8 | 約 7.8 kg | 最頻出。「鉄(鋼)はナナ・ハチ(7.8)」と丸暗記する |
| 鋳鉄(ちゅうてつ) | 7.2 | 約 7.2 kg | 機械のフレームやマンホール蓋など。「鋳鉄はナニ(7.2)」 |
| 銅 | 8.9 | 約 8.9 kg | 鋼(7.8)より重い金属として学科でよく比較される |
| 鉛(なまり) | 11.4 | 約 11.4 kg | 教材の表の金属の中で最も重い |
| アルミニウム | 2.7 | 約 2.7 kg | 鋼の約3分の1の軽さ。コンクリート(2.3)より少し重い点に注意 |
| コンクリート | 2.3 | 約 2.3 kg | テトラポッド・U字溝・コンクリートブロックなど実技の定番 |
| 石材(花こう岩) | 2.6 | 約 2.6 kg | アルミニウム(2.7)とほぼ同じ重さ |
| 木材(きり・すぎ・ひのき・かし) | 0.3〜0.9(きり0.3、すぎ・ひのき0.4、かし0.9) | 0.3〜0.9 kg | 水(1.0)より軽いため水に浮く(黒檀などの特殊材を除く) |
| 水(真水) | 1.0 | 1.0 kg | すべての比重の基準(1m³ = 1,000リットル = 1.0トン) |
2. 質量目測の計算ステップと例題(直方体・円柱・中空パイプ)
計算するときに一番多いミスは、センチメートル(cm)やミリメートル(mm)のまま掛け算して桁を間違えることです。最初にすべての寸法を「メートル(m)」に直してから掛け算するとミスがなくなります。
- 100 cm = 1.0 m / 50 cm = 0.5 m / 20 cm = 0.2 m / 10 cm = 0.1 m
- 1,000 mm = 1.0 m / 500 mm = 0.5 m / 100 mm = 0.1 m
例題1:鋼材の角材(直方体)
- 寸法:長さ 2.0 m × 幅 50 cm(0.5 m) × 高さ 20 cm(0.2 m) の鋼材(比重 7.8)
- 体積:2.0 × 0.5 × 0.2 = 0.2 m³
- 質量:0.2 m³ × 7.8 t/m³ = 1.56 トン(実技の目測解答欄では選択肢または約1.5〜1.6トンを選ぶ)
例題2:コンクリートの円柱
- 公式:半径(m)× 半径(m)× 3.14(概算では3) × 長さ(m)× 比重
- 寸法:直径 1.0 m(半径 0.5 m)、長さ 2.0 m のコンクリート円柱(比重 2.3)
- 体積:0.5 × 0.5 × 3.14 × 2.0 = 1.57 m³
- 質量:1.57 m³ × 2.3 t/m³ = 約 3.61 トン
3. 玉掛け実技試験の流れ(基本7ステップ)
実技試験は通常2〜4人1組(指揮者=合図者1名と補助者)で行い、全員が順番に指揮者(合図者)役を担当します。講習3日目の午前〜午後に練習したコースをそのまま試験で回ります。
| ステップ | 作業内容 | 試験官が見ているポイント(指差し・合図) |
|---|---|---|
| ① 質量の目測と用具の選定・点検 | 荷の質量を見積もり、つり角度に応じて耐えられる太さ・長さのワイヤロープを選び(つり角度は原則90度以内、半掛けつりなどは60度以内)、異常がないか点検する | 「素線切れなし、摩耗なし、キンクなし、形崩れ・腐食なし、ワイヤロープよし!」と指差し呼称する。 |
| ② フックの誘導 | クレーンのフックを荷の重心の真上へ誘導し、適切な高さで停止させる | 手と笛の合図(東西南北・水平移動・停止・巻下げ)をハッキリ出し、フックが重心の真上に来ているか確認する。 |
| ③ 玉掛け(荷掛け) | 荷の形状に合わせてワイヤロープを掛け(あだ巻き・目通し・半掛け等)、フックにアイを掛ける | フックにはアイを重ねず、フックの向きに合った順番で掛け、外れ止め(ラッチ)が確実に閉じたことを確認。角には当て物を入れる。 |
| ④ ワイヤの張り(たるみ取り)と退避 | ワイヤロープが張る直前まで微速で巻き上げ、玉掛け状態を点検してから補助者・自分を安全場所へ退避させる | 退避が完了する前に本巻き上げをしない。「補助者退避よし、周囲よし!」を確認する。 |
| ⑤ 地切り(一旦停止)と安全確認 | 荷を地面からわずかに浮かせた位置で一旦停止させる(福井労働局の手順書のモデルでは高さ20cm) | 荷の水平バランス、フックの芯(振れがないか)、ロープの掛かり、当て物のズレを指差し確認する。 |
| ⑥ 巻上げ・水平移動・着地(荷卸し) | 運ぶのに合った高さ(福井労働局の手順書のモデルでは50cm程度)まで巻き上げ、障害物を避けて運搬し、着地場所の枕木(りん木)の上に静かに降ろす | 移動中は荷から目を離さず、つり荷の進行方向や下に入らない。着地前に一度止めて枕木の位置を直し、ゆっくり着地させる。 |
| ⑦ 玉外しとフックの巻上げ | ワイヤを緩めてフックから外し、荷から手でワイヤを抜いてから、フックを身長以上の安全高さまで巻き上げる | クレーンでワイヤを引き抜くのは厳禁(荷が転倒・跳ねて危険)。必ず手で抜いてからフックを2m以上へ巻き上げて終了。 |
合図(手・指・笛・旗)の具体的な動かし方は、玉掛けの合図一覧(手・笛・旗と指差し呼称)に図解つきでまとめています。
4. 実技試験で減点・不合格になりやすい5大NG行動
実技試験の採点の方法や合格の基準は、講習所ごとに決まります(例:岡山トレーニングセンターは実技70%以上と案内。2026年10月確認)。次の5つは安全上の重大なミスなので、特に気をつけてください。
- 地切り(わずかに浮かせての一旦停止)をせずに一気に巻き上げる 地切り停止と「玉掛け状態よし!」の指差し呼称は必須項目です。緊張してそのまま高く巻き上げてしまわないよう、荷が浮いた瞬間に必ず「停止」の合図を出します。
- 補助者や自分が退避する前に巻き上げ合図を出す ワイヤのたるみを取ってから実際に地切りするまでの間に、必ず全員が荷から離れた安全な位置へ退避します。
- つり荷の下に入る・荷の上をまたぐ クレーン等安全規則第29条は、ハッカーやつりクランプ1個でつった荷、1か所に玉掛けした荷など、決められた場合につり荷の下への立ち入りを禁止するよう定めています。それ以外の場合でも、つり荷の下には入らないのが基本です。着地前の枕木(りん木)の微調整でも、荷の下に手や足を入れてはいけません。
- 荷卸し後、ワイヤロープをフックに掛けたままクレーンで引き抜く 荷の下敷きになっているワイヤをクレーンの巻上げで引き抜くと、荷が跳ねたり転がったりして大事故になります。必ずフックからアイを外し、手で引き抜きます。
- 合図の動作が小さい・笛を吹き忘れる クレーン運転士に明確に伝わるよう、腕は肩の高さ以上で大きく動かし、笛(短音・長音)と指差し呼称は大きな声で行います。
よくある質問
- 玉掛けの質量目測はどうやって計算しますか?
- 荷の寸法をメートル(m)単位で目測し、「体積(縦m × 横m × 高さm)× 材質ごとの1m³あたりの質量(比重 t/m³)」で計算します。たとえば長さ2m・幅0.5m・厚さ0.2mの鋼材(比重7.8)なら、2 × 0.5 × 0.2 × 7.8 = 1.56トン(約1.6トン)となります。
- 玉掛け試験で覚えるべき比重(単位体積質量)は何ですか?
- 最もよく出るのは、鋼(鉄)=7.8、鋳鉄=7.2、アルミニウム=2.7、銅=8.9、コンクリート=2.3、木材=0.3〜0.9(きり0.3、すぎ・ひのき0.4、かし0.9)、水=1.0 です。まずこの7つを覚えておけば学科・実技の両方で対応できます。
- 玉掛け実技試験の「地切り(じぎり)」とは何ですか?
- 荷を地面から一気に高く巻き上げるのではなく、床面からわずかに浮かせたところで一旦停止(巻上げストップの合図)させ、荷の水平バランス・フックの位置(重心の真上か)・ワイヤロープの掛かり具合・当て物のズレがないかを安全確認する手順です。地切り確認を抜かすと大きな減点になります。
- 玉掛けの実技試験で落ちることはありますか?
- 講師が事前の実技練習(6時間)で手順を丁寧に指導してくれるため、ほとんどが合格します。ただし「つり荷の下に入る」「地切りで一旦停止しない」「退避せずに巻上げ合図を出す」「フックから外したワイヤロープをクレーンで引き抜く」といった危険行為をすると大幅減点や再試験になります。